ポケモン名前当てゲーム「ポケモンWordle」「Pokedle」の初手はどのポケモンが強い?平均情報量最大化による攻略方法と有効初手考察

ポケモン版Wordle、ポケモンWordleのスクリーンショット
ポケモン版Wordle、ポケモンWordleのスクリーンショット

この記事ではポケモン名前当てゲーム「Pokedle」「ポケモンWordle」の有効な初手は何か?という考察を行います。

ポケモン名前当てゲーム「Pokedle」「ポケモンWordle」

つい先日、ポケモン名前当てゲーム「Pokedle」が登場しました。

pokedle.vercel.app

Pokedleはちゅうさん*1が制作*2しているゲームで、9回以内で日本語で5文字のポケモンの名前を当てるというゲームになっています。 このゲームは後に説明するようにWordleというゲームが原作となっています。

このゲームが面白いのは、ただ毎回名前をランダムに当てるのではなく、回答する度にどの文字が正解に近かったのかのヒントが毎回もらえるということです。つまり回答する度にヒントが増え、そのヒントを元に名前を当てる謎解きのようになっていて、いかに上手いポケモンを回答し、良いヒントを引き出せるかがポイントになっています。

そしてその後、ポケモンWordleというゲームが登場しました。

ポケモンWordleはやどさん*3が制作しているゲームで、こちらも10回以内で日本語で5文字のポケモンの名前を当てるというゲームになっています。こちらでは予想回数が10回になっている他、4文字以下のポケモンも予想として使用可能で、更に何回でも挑戦可能なエンドレスモードも遊ぶことができます。

原作:Wordle

このゲームはWordleというゲームが原作になっています。皆さんは最近下記のようなツイートを見たことがあるのではないでしょうか。

この何やら謎な四角のツイートは、最近流行っているWordle *4というゲームの結果ツイートです。

WordleはJosh Wardleさん*5が個人制作している単語当てゲームで、5文字の英単語を6回以内で当てるという内容になっています。 ただ単語を当てるのではなく、単語を予想する度に下記のような情報を得ることができます。

  • 🟩:予想した文字が正しい場所に配置されている。
  • 🟨:予想した文字は単語中に含まれているが、正しい場所に配置されていない。
  • ⬜:予想した文字は単語中のどこにも含まれていない。

アルファベットは全部で26文字あり、5文字の単語を6回予想できるので、上手く予想すれば6回以内でクリアできるようになっている絶妙なゲームバランスになっているというわけです。隠された単語は毎日0時に変わるようになっており、毎晩0時になると多くのWordleの結果ツイートを目にする機会が増えています。

Wordleは個人制作のゲームでありながら、New York Timesに取り上げられたり*6Googleで「Wordle」と検索すると専用のロゴ表示が出るようになるなど、大きな盛り上がりを見せています。

このWordleのポケモン版が「Pokedle」そして「ポケモンWordle」です。

ちなみに私の初回のPokedleの結果はこのような感じ*7で、ポケモンWordleの結果はこのような感じ*8でした。 これまでのポケモン人生の全てが試されているような感じがして、ポケモンマスター魂が燃えるゲームです。

問題設定

さて、ゲームがあるというのなら、一番上手くクリアする方法は何かが気になるというものです。 この記事では、初手に選ぶべき最適なポケモンはどのようなポケモンを考察します。

「最適、最適」と言われたら、何が評価関数なのかを明確にするのが世の情けです。この記事では下記のような問題を考えます。

  • 問題: ポケモンWordle/Pokedleにおいて、全ての正解候補ポケモンがランダムに出題される時、その後の平均の予想回数を最小化すると思われる最初の一手のポケモンは何か?

ただし、この記事で用いるエントロピー最大化の方法はヒューリスティクスに基づく方法なので、真の最適解は得られません。しかし、最適解に近いと思われる近似解は得ることができます。

目次

番外編先行研究 - その日つぶやかれたWordleのパネル列からその日の単語を一発で推定する方法

この記事の趣旨とは異なるのですが、原作であるWordleに関して面白い先行研究があるので紹介します。

なんとBen Hamnerさんはその日につぶやかれたWordleの結果からその日の単語を一発で推定する方法を作り公開しています。 この方法では、twitterからその日のパネルの情報を載せた冒頭で紹介したようなツイートを収集し、その情報を使ってその日の単語を推定します。

https://www.kaggle.com/benhamner/wordle-1-6/notebook

こちらはKaggleで公開されているだけに深層学習に基づいているのかと思いきや、 なんとWordleの全正解候補単語と使用可能単語を用いてWordleのセッションのシミュレーションを多数行い、 正解候補に対するパネルのパターンの出現頻度を単語ごとに計測し、パネルの全組み合わせの頻度のベクトルを特徴として 最近傍探索を含む3つの指標を用いてその日の単語を推定しています。

ポケモンWordleの有効初手の考察 - 準備

以下ではポケモンWordleの初手を考えていきます。 この記事ではエントロピーの最大化による方法で有効な初手を考えます。

この記事で紹介するチャートは平均回答数を真に最少にする最適なものではなく、他のポケモンが真に最適な可能性があります。 しかし、この記事で紹介する方法を参考にすると、「その後の分割を均等にするようなポケモンを選ぶのが概ね良い」というポケモンWordleを攻略する上での一つの方針を得ることができます。

データの収集

まずポケモンWordleの説明によると、下記のようなルールが記されています。

  • お題のポケモンは必ず5文字です
  • 回答には5文字以下のポケモンも入力することができます
  • 回答には剣盾までのポケモンが使えます

ポケモンWordle https://wordle.mega-yadoran.jp/ より引用)

そこで全国ポケモン図鑑順のポケモン一覧 - Wikipedia から該当するポケモンの名前を収集します。回答に使えるポケモンと、正解候補のポケモンの2つのデータを収集します。

また、ニドラン♂・♀、ポリゴン2・Zに必要な「♂・♀・2・Z」がキーボードに存在せず入力できないため、これらのポケモンは除外します。

こうして収集したデータを見ると、正解候補ポケモンは511匹、回答可能ポケモンは847匹となりました。正解候補ポケモンはたまたま2^{9}-1匹になっていますが、今回はその事実は特に使いません。

ポケモンWordleにおけるパネルのフィードバックのルール

ポケモンWordleをプレーしてみた結果、パネルのフィードバックのルールはWordle同様下記のようになっていると思われます。

  • まず回答と正解の両方において位置と内容が一致している文字を全て探し、それらを緑色のパネルとする。
  • 次に位置は合っていないが正解の名前中に含まれている文字を全て探し、それらを黄色のパネルとする。
    • ただし、同じ文字が重複している場合は、緑色+黄色のパネルの枚数が正解単語におけるその文字の文字数以下になるように黄色のパネルを表示する。
    • たとえば「ああいうえ」が正解で「あおああお」と回答した場合、結果は「緑灰黄灰灰」となる。回答に「あ」は3つ含まれているが、正解には「あ」が2つしか含まれていないので、緑色+黄色のパネルの枚数は2枚となっている。
  • 名前中に含まれていないパネルは全て灰色のパネルとする。

この記事では上記のルールに従っていると仮定して初手を考察します。

分割の質

さて、この記事では以下のような方法によって初手を考察していきます。 ここでは回答の結果得られるパネル列をフィードバックのパネルの列と呼ぶことにします。

  1. 正解候補ポケモンと使用可能ポケモンの集合をそれぞれ用意する。
  2. 全使用可能ポケモンでの回答をシミュレーションする。
  3. フィードバックのパネル列によって正解候補ポケモンは分割されるが、 最も質が良い分割 を与えてくれる回答を1匹選ぶ。このポケモンを有効な初手とする。

さて、ここで問題になるのが「最も質が良い分割」とは何か、つまり「分割の質」を測るにはどのようにすれば良いのかという問題です。

まず最初に考えられるのは得られるフィードバックの種類の多さです。回答の結果得られるパネル列の種類が多い方が、多くの場合分けが生じるためより良く絞り込めると考えられます。しかし、例えば同じ4分割でも、(508匹、1匹、1匹、1匹)という分割より(128匹、128匹、128匹、127匹)という分割の方が一般的に性能が良いと言えます。なぜならば、一発で1匹に絞り込める場合を引いたなら良いのですが、508匹のフィードバックを引き当てた場合、ほぼ絞り込んでいないのと同じになってしまうからです。これに対して後者の分割では、どのようなフィードバックが得られた場合でも128匹程度に絞り込めることが確実なので、絞り込みの性能、つまり分割の質は高いと言えます。

分割の質を測るエントロピー

このような意味で分割の質を測るのにエントロピーを使うことができます。以下ではその理由を説明します。

まず、今回興味があるのは全ポケモンの平均回答数を最小化することです。そこで、ある状態から正解に至るまでの回答数の見積もりを計算する方法を考えます。

そのために、次のような仮定を置きます。

  • このゲームでは回答を行うごとに候補数が p \lt 1倍される。

このように考えると、例えば現在の正解候補数が M匹だった場合は、回答するごとに候補数が p倍になっていくので、 M匹になった時点からの残りの手番数の見積もり nは残りの候補数が1となる時のnであるため、

 \displaystyle
\begin{align}
p^n M &= 1 \\
% n \log p &= \log \frac 1 M \\
n &= \frac 1 {\log p} \log \frac 1 M
\end{align}

と見積もることができます。

さて、回答xから得られるフィードバックによって候補が \left( M_1, M_2, \cdots, M_m \right)匹に分割されるとします。 また、 M_iの合計、つまり正解候補数の総数 \sum_i M_i = Nとします。

この時、正解候補ポケモンの選出率が均等だとすると、それぞれの分割が得られる確率は \left( \frac {M_1} N, \frac {M_2} N, \cdots, \frac {M_m} N \right)となります。また、それぞれの分割の後における残り手番数の期待値の見積もりn_iも上記のnの式で計算することができます。つまり、回答xを行った平均の残り手番数の見積もり\hat nは、 各分割の出現率と、その分割における残り手番数の見積もりの期待値として次のように書けます:

 \displaystyle
\begin{align}
\hat n
&= \sum_i \frac {M_i} N n_i \\
&= \sum_i \frac {M_i} N  \frac 1 {\log p} \log \frac 1 {M_i} \\
&= \frac 1 {\log p}  \sum_i \frac {M_i} N  \log \frac 1 {M_i} \\
\end{align}

これを少し変形すると、

 \displaystyle
\begin{align}
\hat n % \left(M_1, M_2, \cdots, M_m \right)
&= \frac 1 {\log p}  \sum_i \frac {M_i} N  \log \frac 1 {M_i} \\
&= \frac 1 {\log p}  \sum_i \frac {M_i} N  \left( - \log {M_i}  + \log N - \log N\right) \\
%&= \frac 1 {\log p}  \sum_i \frac {M_i} N  \left( - \log \frac {M_i} N - \log N\right) \\
%&= \frac 1 {\log p}  \sum_i - \frac {M_i} N  \log \frac {M_i} N + \frac 1 {\log p} \sum_i \frac {M_i} N \log N \\
&= \frac 1 {\log p}  \sum_i - \frac {M_i} N  \log \frac {M_i} N + \frac 1 {\log p} \log N \\
\end{align}

が得られます。

さてここで、下記の事実に着目します:

  • どのような分割\left(M_1, M_2, \cdots, M_m \right)に対しても、
    • それらの合計Nは不変である。
    • 仮定として置いているpの値は不変である。

したがって、\hat nの和の係数、および第二項はどのような分割を選んでも値が不変であることがわかります。

したがって、\hat nを最小化するためには、次のような関数\tilde nを最小化すれば良いことになります:

 \displaystyle
\begin{align}
\tilde n \left(M_1, M_2, \cdots, M_m \right)
%H \left(M_1, M_2, \cdots, M_m \right)
&= - \sum_i \frac {M_i} N  \log \frac {M_i} N, \ \ N = \sum_i M_i
\end{align}

これを離散確率分布\left( \frac {M_1} N, \frac {M_2} N, \cdots, \frac {M_m} N \right)平均情報量またはエントロピーと呼びます。 この量は一般の離散確率分布\left(p_1, p_2, \cdots, p_m \right)に対しても次のようにのように定義されます:

 \displaystyle
\begin{align}
H \left(p_1, p_2, \cdots, p_m \right)
&= - \sum_i p_i  \log p_i
\end{align}

さて、今行いたいのは一番質の良い分割を与えてくれる回答可能ポケモンを探すことでした。今回で言う質の良い分割とは、全ポケモンの平均回答手番数を最小化してくれるような分割です。その近似値として残り手番数の近似値\hat nを計算しましたが、その値を最小化するような分割を知りたいわけです。そしてそれを達成するのは、 Hを最小化するような分割、つまりエントロピーを最大化するような分割を与えてくれる回答ポケモンです。

したがって、分割の質としてエントロピーを使い、そのエントロピーを最大化するようなポケモンを選ぶことが有効初手導出の方法として使えます。

どのような分割がエントロピーを最大化するか

さて、候補数の合計Nが一定の時、どのような分割\left( \frac {M_1} N, \frac {M_2} N, \cdots, \frac {M_m} N \right)がその後の平均手番数を最小化すると思われるか、つまりエントロピーを最大化するかが気になります。 これは一般に確率分布\left( \frac {M_1} N, \frac {M_2} N, \cdots, \frac {M_m} N \right)一様分布であるときであることが知られています。このようなエントロピーの性質は一般の離散確率分布にも適用することができ、ラグランジュの未定乗数法という方法によって導出することができます。

今回の問題で言い換えると、これは全ての分割における候補数が均等である時であると言いかえられます。 先程例として同じ4分割でも(508匹、1匹、1匹、1匹)という分割より(128匹、128匹、128匹、127匹)という分割の方が一般的に性能が良いと言えるだろうという話をしましたが、この時の性能は分割のエントロピーの大小で比べることができます。実際にエントロピーを計算してみると、

 \displaystyle
\begin{align}
% \tilde n \left(M_1, M_2, \cdots, M_m \right)
H \left(\frac {508} {511}, \frac {1} {511}, \frac {1} {511}, \frac {1} {511} \right)
&= 0.042466 \\
H \left(\frac {128} {511}, \frac {128} {511}, \frac {128} {511}, \frac {127} {511} \right)
&= 1.386289
\end{align}

後者の分割ではエントロピーが32倍近くとなっています。 エントロピーは期待手番数に概ね比例する量と言えるので、後者の分割のほうが32倍も少ない手番数で正解に到達できると見積もれることがわかります。 もちろんこれは近似に近似を重ねているので正確ではないのですが、いかに均等な分割の方が手番数を少なくできるかがわかると思います。

したがってここから得られる重要な方針は、なるべく分割が均等になるポケモンを選ぶとその後の期待手番数を少なくすることができるだろうという方針です。

初手に一番良いポケモンは何か?エントロピーによる考察

さて、エントロピーという道具を手に入れた今、初手で一番良く候補を絞ることができるポケモンが何であるかを導くことができます。 先程の考察によると、何も回答していない状態でエントロピーを最大にするようなポケモンが初手として一番良いポケモンになります。*9

以下の表は、初手において一番良く候補を絞り込んでくれる順に並んだポケモンの名前たちです。左から順位、名前、エントロピーの値、得られるパネル列の種類、そして各パネル列が得られた時に正解候補として残るポケモンの数が記されています。この表の一番上が初手にエントロピーの意味で最適なポケモンで、その次が初手の選択として2番目に良いポケモン、その次が3番目…となっています。

その表がこちらです。

  1 ジーランス 2.81552027301750 53 [136, 71, 55, 36, 24, 17, 16, 15, 14, 11, 10, 9, 8, 8, 7, 6, 6, 5, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  2 レントラー 2.80590281618208 46 [143, 54, 54, 38, 22, 21, 21, 15, 13, 12, 9, 9, 9, 7, 7, 7, 6, 5, 5, 5, 5, 5, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  3 ネンドール 2.76650256510168 44 [152, 57, 52, 30, 25, 22, 19, 15, 13, 10, 9, 8, 8, 7, 6, 6, 6, 5, 5, 5, 5, 4, 4, 4, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  4 グラードン 2.75490681338029 58 [163, 78, 36, 30, 22, 16, 15, 12, 11, 11, 11, 10, 9, 7, 5, 4, 4, 4, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  5 ランクルス 2.73260697699840 48 [152, 60, 53, 32, 31, 20, 17, 14, 14, 11, 10, 9, 8, 7, 7, 6, 5, 4, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  6 ルナトーン 2.71418343665737 46 [145, 56, 47, 39, 34, 32, 18, 16, 11, 11, 10, 10, 9, 9, 8, 6, 5, 5, 4, 4, 3, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  7 ドータクン 2.68011040444398 49 [165, 75, 37, 33, 21, 16, 16, 15, 12, 10, 10, 10, 8, 8, 7, 7, 5, 5, 5, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  8 ムーランド 2.66205210039006 47 [166, 71, 50, 28, 21, 16, 15, 15, 12, 11, 10, 8, 6, 6, 6, 5, 5, 5, 4, 4, 4, 4, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
  9 ヒードラン 2.65930190748349 53 [172, 76, 35, 33, 21, 18, 15, 11, 10, 10, 10, 9, 9, 7, 6, 6, 5, 5, 5, 4, 4, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 10 シンボラー 2.65678627841122 46 [168, 56, 54, 37, 22, 21, 19, 14, 10, 9, 7, 7, 7, 6, 5, 5, 5, 5, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 11 エルフーン 2.65438392548458 47 [165, 52, 42, 36, 32, 31, 21, 17, 11, 10, 9, 9, 8, 6, 5, 5, 5, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 12 キングラー 2.64903504033593 51 [167, 62, 55, 30, 28, 21, 15, 14, 12, 11, 8, 8, 7, 6, 5, 5, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 13 ランドロス 2.61842964058585 55 [189, 63, 34, 31, 23, 22, 16, 12, 10, 9, 9, 7, 6, 5, 5, 5, 5, 4, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 14 ドンカラス 2.61396068008001 56 [197, 67, 34, 21, 20, 17, 16, 13, 11, 8, 8, 8, 5, 5, 5, 5, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 15 ペンドラー 2.61321481279127 49 [174, 56, 53, 39, 21, 19, 18, 11, 11, 11, 9, 9, 9, 7, 6, 5, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 16 デスカーン 2.61314725428816 43 [153, 62, 43, 43, 41, 37, 15, 11, 10, 10, 10, 6, 6, 6, 5, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 17 デスバーン 2.60106990313566 45 [158, 63, 46, 42, 39, 35, 14, 10, 10, 7, 7, 6, 6, 6, 6, 5, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 18 ドッコラー 2.58424752564100 46 [171, 72, 39, 38, 27, 19, 13, 13, 12, 12, 11, 8, 8, 8, 7, 5, 4, 4, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 19 ハンテール 2.57962383823149 40 [163, 57, 57, 35, 31, 24, 19, 18, 12, 9, 8, 7, 7, 6, 6, 5, 5, 4, 4, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
 20 バクフーン 2.56037765802205 50 [183, 60, 42, 38, 34, 21, 17, 9, 8, 7, 7, 6, 6, 6, 6, 5, 5, 4, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]

!!!

さいしょは ジーランス………

…いや、さいしょはホエルオーなのですが、この言葉を見て何かを思い出した方は多いと思います。 そう、ポケモンルビー・サファイア版のおふれのせきしつ点字で書かれている、レジ系ポケモンを解放するための仕掛けを起動する手順を示した言葉です。

まさか、エントロピーを基準にした結果、ポケモンWordleの最初の一手として良いと思われるポケモンが「ジーランスであることが明かされるとは…これにはかなり驚きました!

ジーランスの分割結果を見てみると、初手でジーランスと回答するだけで次の一手で即座に正解にたどり着けるポケモンが21匹もいることがわかります。ジーランス自身を含めると、さいしょに ジーランスと答えるだけで22/511=4.5%の確率で2手以内で正解できることがわかります。(分割結果の中にジーランス自身が含まれているので、2手で正解可能なのは21匹になります。)

一番絞り込めない場合の候補数でも136匹で、これでも26.6%、つまり1/4近くにまで元の候補数から一手で絞ることができることになります。ジーランスがいかにポケモンWordleにおいて強力なポケモンであるかがわかります。

また、2位のレントラーも非常に僅差でエントロピーが高い値になっています。レントラーも2手目で即座に正解にたどり着けるポケモンが13匹も存在し、同じくらい初手として良いポケモンであると言えます。

また、ジーランスだけでなく、ネンドールグラードン、ルナトーン、ドータクンシンボラーなど伝説や古代に関わるポケモンが多くランクインしているのもアツいです。

ちなみにエントロピー下位20匹は下記の通りになります。

828 ユキハミ  0.69339811979023 11 [429, 37, 17, 15, 4, 2, 2, 2, 1, 1, 1]
829 ナゲキ   0.69246156345221  9 [433, 25, 16, 15, 11, 4, 4, 2, 1]
830 セレビィ  0.65904841055873 13 [442, 26, 10, 9, 6, 5, 5, 3, 1, 1, 1, 1, 1]
831 ポカブ   0.64736718136168 10 [437, 32, 20, 5, 5, 4, 3, 3, 1, 1]
832 ミュウ   0.64366617846590 13 [444, 25, 9, 9, 7, 6, 4, 2, 1, 1, 1, 1, 1]
833 メテノ   0.62855669184240 10 [445, 17, 12, 12, 9, 7, 6, 1, 1, 1]
834 パウワウ  0.62696439018523 11 [446, 19, 12, 11, 8, 5, 4, 3, 1, 1, 1]
835 ヨワシ   0.60924204727621 10 [439, 43, 8, 6, 4, 4, 2, 2, 2, 1]
836 エネコ   0.60375601579838  9 [445, 23, 12, 10, 10, 8, 1, 1, 1]
837 ポッポ   0.59089590679152  8 [431, 56, 14, 3, 3, 2, 1, 1]
838 ゴニョニョ 0.58629397390259 13 [454, 14, 13, 7, 6, 4, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1]
839 ピッピ   0.57428491795491  8 [431, 56, 18, 2, 1, 1, 1, 1]
840 マネネ   0.57162173645497  7 [440, 39, 19, 6, 4, 2, 1]
841 ベベノム  0.55402542215247 10 [454, 18, 12, 9, 7, 5, 2, 2, 1, 1]
842 ブビィ   0.53306539374617  9 [456, 17, 11, 10, 7, 5, 3, 1, 1]
843 モノズ   0.50979013067474  9 [460, 12, 10, 9, 9, 6, 2, 2, 1]
844 モココ   0.47050968698903  9 [463, 18, 11, 6, 6, 3, 2, 1, 1]
845 ミネズミ  0.46685706516407 10 [465, 11, 11, 10, 7, 2, 2, 1, 1, 1]
846 ツボツボ  0.31489085091216  8 [481, 13, 7, 4, 2, 2, 1, 1]
847 ピィ    0.21066133959411  5 [490, 14, 4, 2, 1]

エントロピー最下位はピィとなりました。ピィは名前が2文字しかなく、なおかつ珍しい文字が使われているので無理はありません。一番候補が絞り込めない場合は490匹候補が残り、全体の95.9%が候補として残ります。

名前が5文字のポケモンで最下位なのはゴニョニョで、こちらも「ゴニョ」という3文字だけが実質ヒントになっていて、なおかついずれも珍しい文字なのでこのようなランキングになっています。

エントロピーの一覧の全体は下記のリンクから閲覧することができます。

https://gist.github.com/woodrush/96e55db9a5472bbf781d7dd45ed8762f

以下は、全回答可能ポケモンエントロピーの分布を示した図です。ランキング上位のポケモンが抜きん出てエントロピーが高いことがわかります。攻略チャートを使わずにプレーする場合、これらのポケモンはいずれも初手で有効なポケモンと思われます。

ポケモンWordleにおける初手回答のエントロピーの分布
ポケモンWordleにおける初手回答のエントロピーの分布

ポケモンWordleにおける初手回答のエントロピーのヒストグラム
ポケモンWordleにおける初手回答のエントロピーヒストグラム

上記の表のエントロピーは初手においてのみ有効

ここで、先程の表で示したのは1手目におけるエントロピーであることに注意しなければなりません。 初手で候補を絞り込んだ後の2手目における残りの候補ポケモンは初手とは異なるので、同じポケモンを回答として用いても得られる分割が異なるため、そのポケモンによる分割の質も異なってきます。例えば極端な話、いくらジーランスが強いと言えども、2回連続でジーランスと答えると初手と分割が変わらず全く情報が得られません。このことから、2手目以降は全く異なるポケモンが最適となっていることがわかり、つまり2手目以降は全く別の表が作られることがわかります。

2手目以降に関しても、その時の候補を調べることで同じようなエントロピーによる方針を立てることができます。それはつまり、その時点での残りの候補のポケモンをなるべく均等に分割するようなポケモンを選ぶという方針です。そのようなポケモンをいかに上手く選べるかは、トレーナーであるあなたの腕にかかっています。

Pokedleにおけるエントロピーの計算

ここで、もう一つのポケモン版WordleであるPokedleにおいても5文字のポケモンに制限されています。ただし、こちらではつい最近発売されたPokémon LEGENDS アルセウスに登場する図鑑番号が未判明のポケモンも回答に使用できたため、合計516匹のポケモンが正解候補ポケモンとになっています。

Pokedleにおいて同様のエントロピーの計算を行うと、やはりさいしょは ジーランスが良いという結果が得られます。Pokedleにおいては出現ポケモンが異なるほか、黄色いパネルの出現仕様が少し異なるのですが、それでもはやりジーランスが最もエントロピーが高いポケモンとなりました。Pokedleの詳しい仕様については付録にて説明します。

Pokedleにおけるエントロピーの一覧、つまり有効な初手の一覧をまとめたものが下記のリンクです:

Pokedleのノーマルモードにおける初手回答ポケモンのエントロピー · GitHub

また、Pokedleには6文字以上のポケモンが入力可能なハードモードがあり、こちらのモードでは905匹全てのポケモンが入力可能となっています。更に回答手番数がなんと6手に制限されており、まさにトレーナー力が試される非常に難しいモードとなっています。

これだけ難しいハードモードなので、多くのトレーナーの方の一助となるよう、Pokedleのハードモードにおいても初手のエントロピーを計算しました。その一覧をまとめたものが下記のリンクです:

Pokedleのハードモードにおける初手回答のエントロピー · GitHub

こちらではジーランスではなくマンキーが最適となりました。これは、ハードモードでは6文字未満のポケモンは最後のスペースがフィードバックとして返され、なおかつ末尾にスペースを含んでいるポケモンは多いため、末尾にスペースを含むマンキーが最適であるという結果になったようです。

ちなみに、ノーマルモードとハードモードのいずれにおいてもゴニョニョが初手におけるエントロピーが最下位となっていました。これは先程説明した通りの理由であると思われるのですが、ゴニョニョは905匹の中でもオンリーワンな名前を持っていると言えます。

ピカチュウ」という名前の構成音の珍しさ

さて、Pokedleのノーマルモードにおける初手エントロピーの下位20匹を見ると、次のようになっています:

497 ギギギアル 1.15679179888471 18 [364, 51, 39, 28, 8, 6, 6, 3, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
498 ヒノヤコマ 1.14223671695414 26 [387, 40, 28, 11, 11, 7, 6, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
499 ジグザグマ 1.14035134784917 18 [381, 40, 24, 22, 10, 9, 9, 3, 3, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1]
500 チョロネコ 1.13346856658721 24 [387, 37, 23, 23, 9, 7, 6, 3, 2, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
501 フシギソウ 1.12389149293466 16 [384, 39, 23, 14, 12, 10, 9, 8, 6, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1]
502 フシギダネ 1.11803020812454 18 [388, 39, 16, 14, 12, 12, 9, 6, 5, 5, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
503 ピカチュウ 1.10909905602434 24 [398, 29, 19, 16, 8, 7, 7, 5, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
504 ウデッポウ 1.10416584531979 19 [383, 50, 20, 16, 14, 9, 4, 4, 3, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
505 ビクティニ 1.10130255849240 20 [390, 39, 23, 14, 13, 8, 4, 4, 4, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
506 レジエレキ 1.09800510234134 19 [393, 34, 21, 14, 11, 9, 7, 6, 5, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
507 マダツボミ 1.07879901160671 21 [396, 33, 17, 15, 15, 11, 6, 4, 4, 3, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
508 カゲボウズ 1.05345690945028 18 [403, 22, 17, 16, 10, 9, 8, 8, 7, 4, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1]
509 ヒポポタス 1.04618136093343 16 [385, 59, 18, 18, 7, 5, 5, 4, 3, 3, 3, 2, 1, 1, 1, 1]
510 ハハコモリ 1.04283042860577 18 [391, 54, 18, 10, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
511 エネコロロ 1.01433063287613 17 [403, 27, 19, 17, 12, 10, 7, 7, 4, 3, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
512 ユキメノコ 0.97541863359589 17 [402, 33, 28, 16, 15, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1]
513 タマゲタケ 0.96326915783888 17 [405, 42, 16, 11, 10, 9, 7, 4, 3, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
514 ナゾノクサ 0.95581647037521 20 [408, 41, 15, 14, 10, 6, 5, 2, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
515 シュシュプ 0.79220765985007 14 [428, 36, 9, 9, 8, 7, 6, 5, 3, 1, 1, 1, 1, 1]
516 ゴニョニョ 0.59527491852947 13 [457, 15, 14, 7, 6, 4, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 1]

なんと下から14位にピカチュウがランクインしています。

ピカチュウと言えば、ポケモンを代表すると言っても良い名前です。にも関わらずこれだけエントロピーが低いのは、ポケモン全体の名前で見ると珍しい音で構成されている名前であるからと言えるでしょう。

そこでポケモンWordleにおけるポケモンの文字を出現頻度順に並べると次のようになります:

    'ー', 'ン', 'ル', 'ラ', 'ス', 'ッ', 'リ', 'ド', 'イ', 'マ',
    'ト', 'ク', 'ロ', 'シ', 'オ', 'ア', 'キ', 'カ', 'バ', 'ジ',
    'レ', 'ガ', 'グ', 'コ', 'チ', 'ウ', 'タ', 'フ', 'ニ', 'ャ',
    'ブ', 'ム', 'ダ', 'デ', 'ゴ', 'ュ', 'ノ', 'テ', 'メ', 'ナ',
    'ミ', 'サ', 'エ', 'ハ', 'ヤ', 'ボ', 'ギ', 'パ', 'ゲ', 'モ',
    'ワ', 'ザ', 'ィ', 'ズ', 'ビ', 'プ', 'ケ', 'ネ', 'ツ', 'ポ',
    'ョ', 'ヒ', 'ベ', 'ペ', 'ホ', 'ヨ', 'ゼ', 'ソ', 'ピ', 'セ',
    'ユ', 'ェ', 'ヌ', 'ォ', 'ゾ', 'ァ', 'ヘ', '2',  'Z', 'ヂ',

このように、ピカチュウの「ピ」が下から12位であることがわかります。ピカチュウと言えば冒頭の「ピ」が目立ちますが、実はポケモン全体で見ると「ピ」はかなり珍しい文字なのです。

したがってポケモンを代表すると言っても良いピカチュウは、ポケモン全体の中で見ると珍しい構成音を持つ名前なのです。しかしだからこそ、ピカチュウポケモンの中でも独特な響きを持つ名前として印象に残るのかもしれません。

最後に

エントロピーに基づいた考察の結果、ポケモンWordleおよびPokedleの有効な初手はジーランスであることがわかりました。また、Pokedleのハードモードにおいてはマンキーが有効であることがわかりました。そして初手および2手目以降において、なるべく次の候補が均等に分割されるようなポケモンを選ぶのが良いという方針が得られました。

また、エントロピーを考察した二次的な効果として、「ピカチュウ」という名前がポケモン全体の中で見てもかなり珍しい音で構成されていることがわかりました。だからこそ、ピカチュウポケモンの中でも独特な響きを持つ名前として印象に残るのかもしれません。

さて、エントロピーの導出にて述べたように、エントロピーはその後の平均手番回数の見積もりでしかありません。なぜならば、エントロピーを使う時は「その後の選択肢は毎手番p \lt 1倍になる」という非常に強い仮定を置いているからです。 エントロピーの一覧を見ると、各ポケモンによって実際の候補の別れ方はバラバラで、綺麗にp \lt 1倍にはなっていないことがわかります。ここからもわかるように、エントロピーを使うのは現実と離れている見積りにすぎないため、この結果が最適である保証はどこにもありません。したがって、今後更なる良い戦略が見つかる可能性は存分に残されています。

そして上位のポケモンエントロピーがかなりの僅差となっていました。そのため、初手におけるポケモンの選択にはその分の余地が残されています。更に、2手目以降はエントロピーの表が完全に書き換わるため、その時の残りの候補を考慮して良いポケモンを選ぶ能力が問われることになります。

これは、ポケモン金銀における次の名言を思い起こさせます。

つよいポケモン よわいポケモン

そんなの ひとの かって

ほんとうに つよい トレーナーなら

すきなポケモンで かてるように がんばるべき

付録

以下では付録としてPokedleにおける内容について述べます。

Pokedleのデータの収集

Pokedleの作者のちゅうさんの製作記事*10によると、 Pokedleは5文字のポケモンに正解候補および回答候補が限定されているようです。 そこで全国ポケモン図鑑順のポケモン一覧 - Wikipedia から5文字のポケモンの名前を収集します。

つい先日発売されたPokémon LEGENDS アルセウスに登場する図鑑番号が未判明のポケモンも含めると、 5文字の名前を持つポケモンは2022年2月1日現在全部で516匹いることがわかります。 アルセウスに登場するポケモンを入力したところ有効だと判定されたので、これらのポケモンも正解候補に存在していると思われます。

Pokedleにおけるパネルのフィードバックのルール

Pokedleをプレーしてみた結果、パネルのフィードバックのルールは下記のようになっていると思われます。

  • まず回答と正解の両方において位置と内容が一致している文字を全て探し、それらを緑色のパネルとする。
  • 次に位置は合っていないが正解の名前中に含まれている文字を全て探し、それらを黄色のパネルとする。
    • ただし、同じ文字が重複して登場している場合でも、一度でも登場していれば全て黄色のパネルとする。
  • 名前中に含まれていないパネルは全て灰色のパネルとする。

実際にPokedleをプレーしてみると、黄色のパネルの出現ルールが原作のWordleでの仕様とは異なっているようです。 具体的には、1月31日の正解ポケモンは伸ばし棒「ー」が一つ含まれていたのですが、 伸ばし棒が2つ含まれるポケモンを回答したところいずれの伸ばし棒も黄色いパネルになりました。 これに対しWordleでは黄色いパネルは正解単語に含まれる文字数分だけ現れるようです。 例えば正解単語にAが1つ含まれていて、予想単語にAが2つ含まれていた場合、黄色いパネルで表示されるAは1枚だけになるようです。 これらはいずれも本記事の著者がプレーした結果なので確かではないのですが、このような仕様になっていると思われます。